ただの風邪。

音楽のことを中心にいろいろと書いています。

インターネットは端的にテクノロジーでありインフラであってそれ以上でもそれ以下でもない(メモ)

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 「ポスト・インターネット」なるレッテルの無意味さ、あるいはそのように称される音楽の不毛さ、そしてそうした美学から距離をおくアーティストたちについてのレポート。興味深く読んだ。

 中心的な指摘は、ポスト・トゥルースを加速させるコンセプチュアル(というと聞こえはいいが、要するに冷笑主義だろう)なプロジェクトから、セクシュアリティエスニシティといったアイデンティティの闘争、実践へとモードが移ってきたこと。その意味でいうと、SOPHIEが『Oil of Every Pearl's Un-Insides』でそれまでの露悪趣味みたいなアプローチに奇妙な身体性を付け加えて、それこそArcaやYves Tumorなんかと並ぶような表現に突き抜けたのはある種象徴的というか。

 Throbbing GristleというかGenesis P-oridgeの人間観を21世紀の先端にアップデートさせたような感じがあるよね。

2018年、インターネットとそこに関連するデジタルテクノロジーはハイテクな未来を示す存在ではない。そうではなく、これらはローテクで偏在的な存在であり、音楽制作の最初の一歩であり、全てを育む土壌だ。

 このあたりは、vaporwaveやseapunkのアナクロニックなテクノロジー表象が持っていたアイロニーすらもはや機能せず、ただむき出しのテクノロジーとしてのみインターネットがアクチュアリティを持つようになった、そうした現実を改めて認識させてくれるように思う。

 インターネットを現実に対するオルタナティヴ(電脳空間という空虚なフロンティアとか、あるいはオルタナティヴ・ファクトのためのプラットフォームとかのような)としてではなく、むしろ徹頭徹尾、情報を流通させるインフラとして捉え直す必要がある。SNS上で繰り広げられる不毛なコミュニケーションをインターネットそのものと取り違える必要なんかまるでないのだ。