ただの風邪。

音楽のことを中心にいろいろと書いています。

日記 2018年10月30日(バンド音楽ってなに)

 自立支援の自己負担枠が7月まで5000円だったのが更新したら10000円まで増えたのが地味にきついな〜と思っていたら、12月から服薬している某薬剤にジェネリックが出るとのことで、これは助かる。うちの薬局でも出してもらえるかな?

 夜、通院を終えてスーパーで買い物を済ませて車に戻る途中で、おもいっきりコケた。人前であんなに無防備にコケたの何年ぶりだろう。肺と喉が「ぶげぇ!」という音をたてた。なんも知らんふりをしてふつうに運転して帰ってきたが、膝がめっちゃじんじんする。少しすりむいていた。

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 めっちゃハードコアなコレクティヴがターナー賞にノミネートされているのか。「展覧会」という空間媒体を最大限活用した言説の拡散、面白い。テクストやビデオを通じて読者や視聴者に説得するのではなく、さまざまなメディウムを接続してひとつのジャーナリズムの実践を実現する場としてインスタレーションを利用する、そのスタンスはIRLの美学の明晰な実践という感じがするな。代表のEyal Weizmanの次の発言も凄い。「賞なんか獲るよりもずっと、裁判で勝ちたい。I would so much rather lose prizes and win cases.」

 夏に出ていたAir Max '97のアルバムがなかなか良かった。謎のフィールドレコーディングからカットアップされたサウンドが分厚い空間のなかに配置されている。Iglooghostなんかもそうだと思うのだが、ベースミュージックから出発しつつ、ウワモノの空間的なあつかいやテクスチャーで個性を出してくるのが今っぽいのかなぁと思う。かといってBurial~ポストダブステップ的なダブの美学というのでもなく、どちらかというとインダストリアルとかミュジック・コンクレートみたいな感じも。

 ShygirlのEPもよき。Grime、UKガラージの暗黒進化系はいいですな。Sega Bodegaがprod.で参加などしている。そんなSega BodegaもついこないだEP出してた。UKのベース・ミュージックがたまに見せるもうちょっと行ったらチージーなポップスだろそれみたいなエモいセンスってなんなんだろうなぁ。それを極限まで露悪化するとPC Musicみたいになるんだろうと思うが。

 Pon Poko、変な名前~ と思って特に聴いてなかったがふと聴いてみたらすげえよかった。女性ヴォーカルがユニークなローファイひねくれポップス、なんだが展開にひねりがあったりリズムがちょっと凝ってたりして聴いたことあるようでない、絶妙なききごこち。

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 Twitterで「スポーツとかが趣味といってもなんもいわれないのに、音楽をやるのが趣味というと『稼げるのか』みたいな余計なことを言われる」という話題があった。なんでかといえば、「表現」というものがもたらすよろこびというのが低く見られているからだろう。というかそもそもそんなよろこびの実在が疑われているのだ。だからつくるとか演奏するとか歌うことに対する欲求が自己顕示欲とか金銭欲とかそういうものと混同されてしまう。別に自己顕示欲や金銭欲で音楽やろうが貴賎はないけどね。

 「バンドマンはモテたくて音楽を始める」論も似たところがある。音楽とか表現への愛はなかなか理解されづらい。ミュージシャンが「モテたくて音楽始めた」みたいなこと言うのはだいたい照れ隠しだと思う。「モテたいから」と言う方が、「音楽が好きだから」と言うよりわかってもらいやすくて恥ずかしくないからだ。あらかじめ不純であることを装ったほうが世間体がいい。

 だからおれは音楽への愛を衒いなく言葉にできる人は大事だと思う。そしてそういう表現に出会うと心臓がとまりそうになる。しばしばあまりに純度が高い愛がそこに詰まっているからだ。

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 バンド音楽なる音楽の終焉を憂うクソみたいな記事が出回ってて、V系やボカロや歌い手文化への偏見と蔑視だけでできた極めて醜悪な内容に反吐がでるし、それに鼓舞されてやんややんや言うてる連中にもうんざりする。音楽的になぜバンド音楽が優れているのか説得する意志などまるでなく、ぼんやりと世間にうずまく不満にそれらしい言葉を与えて共感をよぶ、「なぁ、お前もわかるだろう? こう思っているよな?」というような文章。酒の席だけにしとけよそんなのは。

 たとえばナンシー関が偉大なのは不可視だった違和感や不満そのものをえぐり出した上、あたかも読み手がもとからそれを考えていたような、それを読む以前と同じようには世界を見られなくなるような洞察と筆力を持っていたことにある。まあその功罪というのもあろうが。それに対して単に多少気の利いた毒舌もどきを書くことしかできない人は、たいてい読み手側も自分と同じようなことを思っているだろうからこれを書けばウケる、くらいに読み手を甘くみたうえに、書き方も読み手に甘えきっているので、内輪で「あ〜やっぱそうっすよね〜」くらいにしかならない。

 閑話休題とする。ボカロにせよ歌い手にせよもうかれこれ十年くらいは続いて新陳代謝さえ起こっているジャンルに対していまだに新しい文化をこきおろす物分りの悪いオトナみたいなスタンスでいるのは、ダサいとかそういう話でなく、時代感覚がヤバイくらい遅れていて、こんな文章がバンド音楽とやらが好きな界隈にありがたがられてるんだとしたらそりゃあそんな文化は終わるっしょ、当たり前に、と結論せざるを得ない。そもそも「バンド音楽」ってなんだよ。あんな適当な愚痴をもっともらしく受け止めてありがたがって、挙げ句日本の音楽の未来を憂う人らは救いようがない。中途半端なインサイダーごっこはやめてまずリスナーであろうよ。