ただの風邪。

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米津玄師「Flamingo」とデジタル録音/サンプリング以降のサウンドメイク

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 米津玄師「Flamingo」の解説記事を書きました。この曲って「ビートが太い」「ベースが強い」というような感想を聞くんですが、実は低域はスカスカなんですよね。でもリズム隊の存在感がしっかりある。なんでそういうことができるかといえば、ミッド・サイドをきちんとわけたミックスのアプローチなんだろうなと思います。要するに「同じ帯域の音を同じ定位で鳴らさない」というミックスの鉄則に、思い切ったパンニングとM/Sの処理で忠実になっている。サンプルの使い方とかについてもいろいろと言えることもあって(上の解説の終盤で言及してる「刻み」の話とかそうですね)面白いんですがそれはおいといて。

 この方法自体は言ったらそこまで目新しいわけじゃないんだけど、ほとんどカットアップみたいに楽器の定位を音符ごとに変えて全体の空間を構築していってるのが、ProTools以降のサウンドメイクのある到達点ちゅうことですよね。ただ起源は古く、Scritti Polittiの『Cupid & Psyche 85』(1985年)リリース当時の日本での受容なんかを見ると同じこと言ってるのをよくみかけた。スカスカで、音がばんばんパンをふられて、アナログ録音でそうするように「空間を埋める」のでなくて、点を配置していくことで空間を構築する。そういう意味では「デジタル録音/サンプリング以降のサウンドメイク」と話題をひろくとってもいい。

 最近だとDirty ProjectorsLamp Lit Prose』なんかもこのアプローチを洗練させてすごく鮮やかな音作りをしていたのを思い出します。

 あとはCorneliusがもうこの手法をつきつめすぎて『Mellow Waves』もそうですけどどっか遠くに行ってますよね。J-POP的なまんなかに音がだまになってるようなサウンド(そのうえにぺたーっとボーカルが張り付いている)とは一線を画していて、米津のディスコグラフィ的にも一気に音が垢抜けた印象。オルタナR&Bっぽかったり、トラップっぽかったり、これまでも曲ごとにさらっとツボをついた要素をぶち込んできていたのが、今回は全面的にモダンなマシーンファンクの方法で一曲仕上げた。こうなってくるとコンセプトの一本とおったアルバムを聴きたくなるなぁ……。でもカップリングはわりとJ-POP感強そうなんだよな。

Flamingo / TEENAGE RIOT(フラミンゴ盤 初回限定)(DVD付)

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LAMP LIT PROSE

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