ただの風邪。

音楽のことを中心にいろいろと書いています。

2018年10月23日(夢の困難について)

 朝いち、RMの『mono.』を聴く。先ごろのJ-HOPEのmixtapeが華々しくBTSの人気をうまくフォローするような印象だったのに対して、あくまでメランコリックでブルーな「私」の表現を貫いた地味な感触に、肩透かしをくらうと同時に誠実さも感じたりする。感想は記事にまとめた。

caughtacold.hatenablog.com

 星野源『POP VIRUS』発売告知を見る。アートワークに「なんなんだろこれ」と思いつつ、TLでみかけた「ジャケがダープロっぽい」という指摘はちょっとなるほどと思った。互いにつながった赤、青、そして植物。うーん、でもダープロほどの目を見張るようなサウンドメイクを期待してもいいものだろうか。アレンジは意欲的でもサウンドがなかなか追いつきづらいJ-POPの宿痾を思う。

 最近、昼はジェノベーゼしか食べていない。あまりにジェノベーゼしか食べてないのでジェノベー税がかかる。

 世界は「『せ』か『い』」とひらくことができるが、「world」も「'w' or 'ld'」にひらくことができる。

 週末にできれば石巻でやってる「新しい民話のためのプリビジュアライゼーション/」を見に行きたい。でもなかなか遠い、電車で4時間! 交通費もなやましい。車なら2時間くらいだと思うけど高速代とガソリン代がばかにならない。悩ましい……。せっかく東北にいるのに意外と動けない。11月10日のROTH BART BARON@せんだいメディアテークには行きますが。あと11日のデレマス6th@メットライフDAY2、ライビュ行くことにした。クレイジークレイジーが聴きたい、もうそれが最大の願い。あと大画面であやっぺが見たいんだ……。

 アトロクのシティポップ特集、さらっと聞いたけどvaporwaveやネットミームの話はあんまり出てなかったっぽいね。過剰にインターネットカルチャーの影響を大きく見るのもどうかと思うけど、インターネットなしにこのリバイバルはなかったろうから複雑な気分。このあたりの話、どこかにぶっこめたらいいのになあ。メディアで話すには厄介な話題(音源とかかけらんなさそう)だし。DU BOOKSから刊行予告されてる蒸気波ガイドが出た暁にはぜひ誰かに殴り込みをかけてほしい。宇多丸相手ならヒップホップ的手法のインターネット時代の突然変異としてプレゼンかけたらいけるでしょう(どこに行くんだ)。

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 大塚英志は最近ツイートが面白くていろいろとちゃんと本を読んでみようと思っている(いまアカウントは鍵かけて休眠中だけど)。で、そのタイミングででたインタビューだったので興味深く読んだ。

 ZOZOの前澤社長にしたって、彼のお金だから僕がとやかく言う必要はないけれど、夢が借り物のように僕には見えるわけです。ホリエモン(元ライブドア堀江貴文社長)も「宇宙に行く」と言っているけれど、それは1970年代、1980年代の夢でしょう。僕らの世代が子供の頃、(大阪の)万博で月の石を見た時の夢ですよ。  「月に行く」というのは東西冷戦下で、ジョン・F・ケネディーたちが見た夢であり、政治的な野望でした。ケネディーにとっては、アメリカがソ連に対していかに優位に立つかというプロパガンダであり、軍事戦略だったわけです。  そういう時代の夢を、平然とオリジナルの夢のように使い回しているところが、格好悪いなと思います。「むしろあなたたちがつくった情報や電脳空間の中に、私たちの未来があるんじゃないの」と僕は思うんです。そこを示すのが彼らの仕事なのに、「宇宙へ行くのかよ」と。

 このくだりは、「あー、SpaceXも高度経済成長期の反復・再演なのか」ってめっちゃ腑に落ちた。「夢を与える」ための「夢」が半世紀以上も更新されない陳腐さ。

 未来への想像力が貧しくなった代償としての、「未開のフロンティア」という幻想。かつて未来と宇宙はその遠さにおいて区別がつかなかったが、いまや未来は遥か遠くに消え去ってしまったかわりに、半分山師みたいな大富豪の気まぐれで手が届く程度には宇宙は近づき、なんなら「商品」になったわけだ。しかし「未来=宇宙=夢」という観念連合がしぶとく残り続けているがゆえに、あたかも彼らは「人類の夢」を背負ったふりができる。

 誰もが貧困から解放されて、差別や偏見によって傷つけられることのない世界をつくるほうがよっぽどでかくて夢のある話だと思うけど、自分に直接関わる利害があるからそんな話したくないんだろうね。「宇宙に行く」という一見して人畜無害そうなイノセントな「夢」を叶えるだけなら、「人間味のあるロマンチスト」のええかっこできるからお得だもんな。

 若林さんの『さよなら未来』はその書名がすでに慧眼だ、やっぱり。いま人びとがこぞって思い描く「未来」なんか道端にほっておいたほうがいい。こんなことを言うと「夢のないやつ」って言われそうだけど、その程度の夢で満足してる人のほうが、夢ってものを見くびっているよ。