ただの風邪。

音楽のことを中心にいろいろと書いています。

東京日記(4)国会図書館、森美術館、都写美、「超えてゆく風景」展、渋谷の神輿

 四日目、つまり土曜日、国会図書館に(思いっきり寝坊して)向かう。つくなり資料を閲覧申請して、腹ごしらえにメガ国会図書館カレー食べたんですけどあれはヤバいですね。前日に国会図書館のカレー意外とうめぇなと思ったのと、その日は朝食べていなかったこともあって、いやここは挑戦しよう、と思ったんだけどさすがにメガはやりすぎだった。ちょっとしたお盆みたいなお皿の上に1合だか2合ちかくみえるご飯を盛って、牛丼とカレーのあいがけにするやつ。途中から食事が闘いになった。牛丼も意外といけるな、と思っていたのは最初のことで、あとはいかにペースを落とさず完食するかしか考えられなかったよ。完食したけど。その日はもうあとなにも食べられなかった。狂ったメニューだな~と下膳したら他にもメガカレー(図書館カレーかどうかは知らない)のお皿が並んでいてビビった。なんなんだ国会図書館

 その日の夜は森美術館に行ったんだけど、メインの「建築の日本」展は思い当たる限り最悪の展覧会。その空間にいること自体が耐えられなくて10分で駆け抜けた。なにが悪かったかというと、歴史性や文脈を徹底的に捨象して「日本的な美意識」というテーマのためだけに展示物のすべてが奉仕させられているかのようなキュレーション。パートごとの解説文もぼんやりとして「まあとりあえずブツ見てもらったらわかるでしょ」みたいな感じだし、かといって並べられているブツも「解説で言ったとおりっぽいじゃん?」とでもいうような感じだし、展示と言説が互いになあなあで相互依存してるんだよな。なんなんそれ? そのかわり、近藤聡乃さんのアニメーションのスクリーニングはやっぱよくてしみじみ見てしまったし、アピチャッポン・ウィーラセタクン+久門剛史もよかった。丁寧に設計された画面がオーヴァーラップされたり投影されたりする、それだけのことでこれほどの映像体験が生まれるんだ…… と感動した。映像もそうだし、あのちょっとだけ変則的なスクリーンの配置とか、画角とか、よくできてんなぁ、かっこいいなぁ、とぼんやりみとれてしまった。アピチャッポン+久門のパワーで、今回の森美術館はプラマイで言うと余裕でプラス。「建築の日本」展はなかったことにしましょう。

 翌日はちょっと余裕をとって都写美とワタリウム美術館に。都写美は「マジック・ランタン」展と「杉浦邦恵」展に加えて常設展。どれもよかった…… 「マジック・ランタン」はテーマ自体もでてるもんもよかったし展示から見えてくる歴史的なパースペクティヴもとても広くよかった。歴史をひとつの「美意識」に収斂させるのではなく、見る人の歴史の見方や語り方を拡張させるような、そういう展覧会や文章がいいと思うやっぱり。あと、途中でぽんと出てくるリュミエール兄弟の初期映画がめちゃくちゃ異質に見えて、並置されているメリエスのほうがかえって「マジック・ランタン」展のなかだと地続きに見える。あんな変な――そしてめっちゃかっこいい――視覚をいきなり経験させられたら、例の「機関車の到着にビビって逃げ惑う客」なる伝説がうまれるのもさもありなんだ。あの構図のとり方は映画作家として圧倒的に天才だわやっぱり。「杉浦邦恵」展はカンヴァスに感光剤塗って印画して抽象画といっしょにアッサンブラージュするやつめちゃかっこよかった。アーティストのポートレイトもよかった。図録買おう! と思ったけどちょっと高くて手持ちが足りずに断念。展覧会の図録って2000円~2500円くらいだとわりと気軽に買っちゃうんだけど3000円超えてくるとためらうね。微妙なライン。常設展だといきなりラルティーグが出てきてそれだけでおれはもうよかった。都写美はコレクションのラルティーグを見るだけでもいい。そのくらいラルティーグが好き。しゅき……。

 「超えてゆく風景」展は思いの外よく、思いの外っていうと梅ラボ作品ってわりと昔のやつしか実物見たことなくてあんまりわかってなかったんだけど、近作も含めてまとめて見るとむちゃくちゃよかった。最新作もよかったと思う。どうだろう。小畑さんも点数少ないのに存在感がすごくて、欲を言えば最上階の映像がもっとこうすかっとするかっこよさだったらなあ。写真はめちゃよかったんで、わりと純粋に解像度の問題とかなのかもしれない。

 その後、渋谷で友人と落ち合って、別の友人が担ぐという神輿を見物しにいった。しにいったんだけど、道玄坂をほぼ封鎖して、渋谷の住民がわっさーと集まり神輿を担ぎまくってるのが衝撃的だった。過疎化が進む下手な田舎なんかよりもずっと共同体を感じた…… 東京出身じゃない人からすると、「渋谷に人が住んでる」ということ自体わけわからんのだけど(イメージがハチ公前広場とかだからね)、見えてないだけでここにも強力な地縁と共同体があるんだなあ、江戸っ子じゃんか、やばば、とずっと感動しながら友人の勇姿を眺めていた。

 その後は宿に戻ってまったりしたり日記書いたり翌日(ということはきょうですね)の準備をしておわり。まあ、最終日についてはあんまり言うことない(言っちゃうと仕事にならない)ので、またいつか。ちょっとだけ言うと日焼けで真っ赤だし豪雨に打たれて風邪ひきかけてます。これからバスで山形に戻るぞう。