ただの風邪。

音楽のことを中心にいろいろと書いています。

Modeselektorのドキュメンタリーはいいぞ。心が豊かになる。

 ドイツのエレクトロ・デュオ、Modeselektorのドキュメンタリーが先日、YouTubeに全編アップロードされた。音声はドイツ語だが、英語字幕つきだ。1時間強とそこそこの長さがあり、Modeselektorの2人の少年期から現在(2013年当時)までが丹念に綴られている。

 冒頭。1990年代なかば、ドイツの片田舎で暮らす若者たちがテクノに目覚め、DIYのレイヴから始まって着実にキャリアを重ねていく様には思わずアツくなる。片田舎の廃墟の地下室にありったけの機材を持ち込んで見よう見まねのDJやライヴを重ね、大学進学のためにベルリンに転居してからも音楽活動に邁進する。このあたりは東西統一後のカオティックな熱気と、ダンスミュージックの狂騒が混じり合っていておもしろい。また、若手ミュージシャンが集うスタジオのエンジニアなどもつとめていたというから、いわば十分な下積みを経験していたわけだ。BPitch Controlのボス、Ellen Allienと出会ったあたりから彼らは一気にスターダムを駆け上がっていく。

 僕はModeselektorがとても好きで、特に1st LPはどれだけ聴いたかわからない。ダンスホール・レゲエ、ヒップホップ、アンビエント、グライムにダブステップ等々、あらゆるダンスミュージックをエレクトロニック・ミュージックの釜の中にぶち込んで吐き出したような、異様なバイタリティとオリジナリティを放つ楽曲群。

 このドキュメンタリーを見ると、Modeselektorのふたりのパーソナリティそのものが、まさしくバイタリティとオリジナリティに満ちていたことがわかって、ずいぶん納得がいった。

 さらに印象深かったのは、現在の彼らの姿。とりわけ、ツアーで文字通り寝食を共にするスタッフたちとのファミリー感だ。週末になると家族としばし離れ、寝台つきの大型バスに馴染みのスタッフと乗り込んで、ヨーロッパ中、世界中を飛び回る、そんな生活。見るからにハードだけれど、ふたりはそんな素振りをまったく見せず、むしろこの生活を気に入っていると話す。ダンス・ミュージックの人気アクトでいるということは並大抵のことではないはずだが、彼らが見せる表情がいつもどこか朗らかでさえあるのは、この和気藹々としたファミリー感によるものなんじゃないかと思える。

 時間があったらぜひ見て欲しい。前半はダンス・ミュージック・シーンに特有の若い熱気に、後半は成熟したミュージシャンが重ねていくキャリアに、心打たれるはずだ。