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ヒプノシスマイクはフリースタイルダンジョンに次ぐ起爆剤となるか?

hypnosismic.com

 ここ数年、メディア上で日本語ラップに高い注目が集まっている。「高校生RAP選手権」や「フリースタイルダンジョン」がお茶の間を賑わせると同時に、数々の注目のリリースがヘッズを沸かせる今日このごろ、おたく向けコンテンツにもその熱気が押し寄せてきた。『ヒプノシスマイク』だ。――武力による闘争が禁じられた近未来、男たちがMCバトルで縄張り争いを繰り広げる。そんな物語が、豪華男性声優12人を起用した、日本語ラップ曲とドラマCDを中心に展開される。これが主に女性のおたく層にヒットしているようだ。10月に公開されたアンセムソング「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」は、YouTube上で公開されてから2週間で30万再生を記録し、池袋で開催された1stライブも大盛況だったという。

kai-you.net

 物語の核となるのは、「イケブクロ・ディヴィジョン」のBuster Bros!!!、「ヨコハマ・ディヴィジョン」のMad Trigger Crew、「シンジュク・ディヴィジョン」の麻天狼、「シブヤ・ディヴィジョン」のFling Posseという4つのグループ。それぞれのグループが3人のMCを擁し、だいたい月に1度のペースで各グループによるリリースが予定されている。11月5日現在、前掲のアンセムに加えて、「イケブクロ~」のBuster Bros!!による3曲(+ドラマパート)がリリース済みだ。Apple Musicでも配信されている。

 個人的に『ヒプノシスマイク』を気にかけはじめたきっかけとなったのは、Buster Bros!!!所属・山田三郎(CV.天﨑滉平)のソロ曲「New Star」の作詞・作曲を□□□の三浦康嗣1が手がけていたという点だ。実際のトラックを聴いてみると、ところどころジューク/フットワーク風の808使いが印象的な、G線上のアリアネタのエレクトロ。CVを担当する天﨑滉平の甘い声色が似合う一曲となっていた。また、山田一郎(CV.木村昴)の「俺が一郎」は、木村本人も熱心なヒップホップのヘッズだというのもうなずける堂々としたラップに驚かされるし、山田二郎(CV.石谷春貴)の「センセンフコク」は王道をゆくミクスチャー・ロックとバラエティに富んでいる。音像が全体的におとなしすぎるところがないではないが、けっこう「面白い」ぞ、と思った。

 ただ、Buster Bros!!!を聴いた段階では、オーセンティックなヒップホップ像とは距離を置くのだろう、とばかり思っていた。三浦康嗣の起用というのも含めて。ガチな部分は木村昴に任せて、あくまでラップが武器のかわりになるという設定を活かす方向性かな、なんて。日本語ラップのリスナーには違和感を覚える人もいるかもしれないけれど、それはそれで日本語ラップ+おたくコンテンツというジャンルの第一歩だし。

 なもので、先日発表された「ヨコハマ・ディヴィジョン」の参加アーティストを見てびっくりしてしまった。作詞にはサイプレス上野2、KURO(HOME MADE 家族)、UZI3。トラック提供にはALI-KICK、CHIVA(BUZZER BEATS)。ヨコハマがいきなり真剣勝負を決めてきた。しかも、驚くなかれ、碧棺左馬刻(CV.浅沼晋太郎)のソロ曲は、その名も「G anthem of Y-CITY」という。横浜・ヒップホップときて「G anthem」なんて言ったら、どう考えてもGファンク4じゃん……。これは本気ですなあ……。

 ちなみに「シンジュク・ディヴィジョン」の伊弉冉一二三(CV.木島隆一)のソロ曲の作詞担当はまさかのオリエンタルラジオ・藤森慎吾。キャラクターの職業がホストということでの起用のようだ。まだ他の詳細は発表されていないが、ヨコハマがああなった以上、もういくつかヒップホップ寄りのサプライズがあるやもしれない。ちょっと目が離せなくなってきた。

 「フリースタイルダンジョン」がブームになったころから「実はおたくコンテンツとヒップホップは相性がいいのでは?(おたく的な消費もできるのでは?)」という声はたまに聞かれていたが、いよいよど真ん中のコンテンツがやってきた格好だ。「フリースタイルダンジョン」ほどのインパクトを残すかどうかは未知数だが、ソーシャルメディア上の反応を見る限り、女性向けのおたくコンテンツとしてツカミはばっちりのようだ。

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 また、ここではあえて詳しい設定や物語には立ち入らなかったけれど、ディストピアSFを思わせる「女尊男卑」の管理社会という設定5や、人物相関図から膨らむ妄想など、今後ドラマがどのように展開していくかが気になる要素ばかり。ひとまずは11月15日(水)、「ヨコハマ・ディヴィジョン」Mad Trigger Crewのリリースを待とう。

「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD1「Buster Bros!!! Generation」 イケブクロ・ディビジョン

「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD1「Buster Bros!!! Generation」 イケブクロ・ディビジョン

「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD2 ヨコハマ・ディビジョン(仮)

「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD2 ヨコハマ・ディビジョン(仮)

  • アーティスト: ヨコハマ・ディビジョン「Mad Trigger Crew」碧棺(アオヒツギ)左馬刻(サマトキ)(CV:浅沼晋太郎)/毒島(ブスジマ)メイソン理鶯(リオウ)(CV:神尾晋一郎)/入間(イルマ)銃兎(ジュウト)(CV:駒田航)
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2017/11/15
  • メディア: CD
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「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD3 シンジュク・ディビジョン(仮)

「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD3 シンジュク・ディビジョン(仮)

「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD4 シブヤ・ディビジョン(仮)

「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」キャラクターソングCD4 シブヤ・ディビジョン(仮)


  1. 今年出たミニアルバム『LOVE』は本気の名盤です。素晴らしかった。

  2. フリースタイルダンジョンの初代モンスターでおなじみ、横浜のラッパー。

  3. フリースタイルダンジョンのウェイヨ~でおなじみ、韻にこだわるラッパー。どうでもいいトリビアだが、UZIテニプリの作者・許斐剛の親戚。

  4. 90年代初頭にアメリカ西海岸で生まれたジャンル。詳しい解説は自分も詳しくはないのでWikipediaの項目(Gファンク - Wikipedia)に譲るが、ゆったりとしたテンポ感で若干クサめのメロディアスなギターやシンセのリフが乗っている、車でブンブン鳴らしながら夕暮れの街を流したくなる感じのサウンドが特徴。日本ではDJ PMXを中心としたアーティストの活躍もあり、横浜がご当地といったイメージがある。

  5. ヒプノシスマイク』の世界では女性だけが政治を担い、男性を一切排除した中王区に住んでいる。男性はその外の各ディヴィジョンに住まわせられ、縄張り争いに明け暮れているという設定。