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SoundCloud危機にEDM界のTwitter番長ことdeadmau5が物申す

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 7月頭に駆け抜けた「大量解雇」のニュースから火が着いたSoundCloud危機。Chance the RapperがTwitter上で「SoundCloud問題に取り掛かってる」と呟いたあたりからバズはいっそう吹き上がり、そのTweetの翌日にはSoundCloud側からも声明が出てなんとなーく話題も沈静化した。

 しかし、ChanceがいったいLjungとどんな会話を交わしたのか、果たしてSoundCloudは第四四半期の決算を乗り切れるのかは不透明なままだ。

 なぜか「チャンスが動いた→チャンスが創業者と話をつけた→サンクラ側から堂々と存続発表」という見かけ上の大団円に胸を撫で下ろしている人も多いけれど、事態は2017年頭の資金繰り悪化の報道から先ごろの「余命50日」報道まで、たいして変化はない。もちろん50日後にいきなりサーヴィス終了などということはないだろうけれど、創業者が目下避けようとしている身売りが現実化する可能性はそれなりに高い(あるいは、身売りさえままならず、本当の終わりまでのカウントダウンが始まってしまうか……)。

 そんななか、EDM界のTwitter番長として名を馳せる大御所、deadmau5がSoundCloud危機について持論を展開している。それは端的に言えば、ユーザーをカネに変えるようなビジネスモデルは決してユーザーに利するものではないということ、そして、SoundCloudが課金するべきなのはユーザーではなくむしろ音楽産業の側ではないか? という問題提起だ。

 まあ、ぶっちゃけ岡目八目というか、いつも通りのビッグマウスというか、炎上芸に近いところはある。deadmau5の言っているプランがうまくいくともそうそう思えない(そこまで非現実的とは言わないが、SoundCloudほどの規模まで成長できるかどうか)。しかし、ユーザーからこれほどまで愛されているにもかかわらず、音楽産業の潮流に呑み込まれて不利なディールを掴まされているSoundCloudの現状を見ると、こうした未来もあったのでは? と思ってしまう。以下、ツイートと拙訳をまとめておいた。

SoundCloudが持つ唯一の本物の価値は、彼らが数年かけて築いてきたメールアドレスやFacebookTwitterアカウントのデータベースだ。このデータベースこそ、レコード会社が欲しがるものなんだ。

これからどうなるか教えてあげよう、SoundCloudは高値をつけた買い手の手に渡るか、無限に価値が下落していくかだ。どちらもインディーのアーティストたちの得にはならない。

[もし自分がSoundCloudを立て直すなら]まずはサーヴィスの保全にカネをかけて、ユーザーID以外に紐付けられた情報を収集するのをやめるだろう、それから改めてブランディングする。

[承前]その後で、Creative Commonsライセンスをサーヴィスに統合する。インディペンデントなレーベルがユーザーたちと人対人のやりとりでライセンスを獲得できるように。

[承前]そこまで整備できれば、インディーのアーティストたちはSoundCloudというプラットフォームを使い続けることができる。くそったれなレーベルからの「スポンサードコンテンツ」に埋もれてしまう心配なく、ね。

誰かSoundCloudみたいな環境を、レーベルの投資やエージェンシーからのサブスクリプションを巻き込んで提供できると思うんだけど。

今までだれも、新しいアクトを探すためのお墨付きの豊かな音楽資源としてSoundCloudを使わせるにあたって、メジャーレーベル側にカネを払わせようとは思わなかったのかな? まあいいけど。

だからさ、Spotifyにカネを払わせるのよ、ユーザーたちのコンテンツのカタログを再配信するためのライセンス料としてさ。彼らならアーティストにカネを払えるし、運営費も払えるだろう。

要するに、プランならあるぞってこと。おれはSoundCloudのクソみたいな茶番をまっとうなチームに変えてやることができるんじゃないかと思う。ただ他人の失敗の尻拭いをなんでおれがやるんだよ、カネも払ってるのに。

まあ、SoundCloudはベルリンを拠点にする会社で、それがアメリカの膨大な著作権法とやりあわなきゃならないんだってことは指摘しておくべきだったかな。それにしても……