ただの風邪。

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Abletonの教育コンテンツ、“Learning Music”がすごい

learningmusic.ableton.com

https://gyazo.com/666991587124810d0270fd68997eb722

 FactMagから。Abletonが音楽制作の基礎を学べる“Learning Music”というコンテンツをローンチしていて、これがかなりよくできている。最初はAbleton Liveのセッションビューを模したようなかんたんなフレーズシーケンサーで遊んでみることからはじまって、リズムとはなにか、スケール、コード、ベースライン、メロディの役割、楽曲の構造に至るまでを、ブラウザ上のシーケンサーで実際に打ち込みながら学ぶことができる。特におもしろいのが引用されている実例で、QueenBob MarleyはまだしもInner CityのGood Lifeみたいなテクノクラシック、BeyoncéやGrimesといったポップスター/インディースターの楽曲など、いまDAWをつかって音楽を始めよう、という人にぴったりあわせた選曲だ。ちょっとした楽曲分析(もちろん楽譜はなし、直感的なデザインのグリッドライクなシーケンサーを使う)も添えてある。

 また、テクノなどを例に出しているからこそ学べる例というのもたくさんあっていい。たとえばIkonikaのPraxisを例にひいているページでは平均律上のスケールとは異なるピッチでも音楽はできるよ、と示唆していたり、Robert HoodのRideを例にひいているページではメロディーとベースラインなんて区別がなくなっちゃうような場合だってあるよね、と示唆していたり。ベーシックな楽理をインタラクティヴに学びつつ、モダンなエレクトロニック・ミュージックにぴったりなアプローチも学ぶことができる、地味にすごいコンテンツだ。ちなみに、Advanced topicsというチャプターではスケールやらモードやらちょっとだけ高度な話題も提供している。これも、ひととおりベーシックなレッスンを通過したあとならひとまず理解できるようになっている。

 さらに言えば、全体的にシーケンサーの出来もいい。

https://gyazo.com/a578f83ac51bd88e66589d430bdb775b

 こんなふうに、ひとつのページに複数の独立したシーケンサーが並んでる画面がよくでてくるんだけど、一方の再生中に他方を再生すると、どれもちゃんと次の小節頭で同期して再生されるようになっている。

 楽曲のマクロな構造を解説するチャプターなんかのデザインも素晴らしい。

https://gyazo.com/91faf1c1c0caca77c7e71de9e2533757

 ブリッジとかヴァースとかコーラスといったパートがシークバーに紐付けされていて、知りたい部分をクリックするとYouTube動画の再生時点も移動する。ここでも「このパートは楽曲全体でどんな役割を果たしているか」みたいなことが平明に解説されている。

 これがブラウザ上ですべてフリーで体験できるというのは凄い。僕はなんだかんだ言ってシーケンサーDAWをさわるようになってもう15年くらいにはなろうかと思うけれど、ずっと手探り手探りでやってきたことというのが、最初の一歩からいままさに勉強中のことまで総まとめされている。DAWの操作法を覚えるのにせいいっぱいなうえ、どの音がどんな役割をしているのかとか、こんなリズムフィギュアをつくるとああいうジャンルに聞こえます、みたいなことって基本的には経験則だ。自分でつくってみるまで、直感的に把握することはできても、理解することはなかなか難しい。それがブラウザ上のインタラクティヴなコンテンツだとこうもあっさりと提示できるんだなあ。