ただの風邪。

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Jerobeam Fendersonのオシロスコープ・ミュージックがヤバい

 Jerobeam Fendersonという人がこの秋にリリースした《Oscilloscope Music》という作品がかなりヤバい。アルバム全曲がオーディオ・ヴィジュアルな作品になっていて、チップチューン以前といった感じのプリミティヴな電子音と、蛍光グリーンのレトロなグラフィックが印象的。しかし驚くのが、このグラフィックはすべてオシロスコープ上で描画されている ということだ。つまり、このアルバムを再生した音声信号をオシロスコープに入力すると、まさしくこのグラフィックが画面上に浮かび上がる のだ。X-Yトリガーモードにしたオシロスコープでは、2つのチャンネルに送られた信号をそれぞれX軸とY軸にプロットして図形を描くことができ、たとえばそれは2つの信号の位相を合わせたりするのに使うことができる(位相の安定した2つの波が入力されると安定した図形が表示されるが、位相に乱れがあると図形が不安定に動き続ける)。あるいは可聴域の音声信号をトリガーにしたベクタースキャンと言った方が、レトロゲームなどに親しみのある人にはわかりやすいかもしれない。

 実際、最初期のビデオゲーム(Pongとか)であるとか、あるいはCAD、レーダーなどにこれらの描画方式が用いられていたので、オシロスコープ上に画像を映し出すこと自体がとりたててものすごいハックだというわけでもない。しかし、ポップな電子音楽と目に楽しいアニメーションが融合している驚きはいくら強調しても足りない。それはまるで、ノーマン・マクラーレンのオーディオ・ヴィジュアルな実験アニメーションとウィットニー兄弟による黎明期のコンピューター・グラフィックスが混じり合ったかのようだ。

 主に作品の制作にはPure DataやMaxが用いられているというが、彼は知人のソフトウェア・エンジニアの力を借りて、Blenderでつくったオブジェクトをオシロスコープ上に表示するプラグインをつくっていて、疑似3D的な表現は恐らくこのプラグインのお陰でできているのだろう。

 Blenderのユーザーカンファレンスでエンジニアがそのプラグインをプレゼンしている様子がYouTube上にアップロードされていた。最初の3分くらいは自己紹介なのでちょっと飛ばしてもらえると、基本的な原理からデモンストレーションまで見ることができる。

 2年前の動画だけれど、既にBlender上のオブジェクトをオシロスコープに表示させることに成功しているのがわかる。かつ、Ableton Liveでオーディオを多少プロセスして、映像も同時に加工する実験もしている。

 とまあごたくを並べるよりかは、実際に上記ウェブサイト彼のYouTubeチャンネルを訪れてその作品を堪能するのが早い。こういうの見るとマジでオシロスコープ欲しくなってきちゃうな~。デジタルの安いキットもあるけど、CRTのが欲しい……。