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ただの風邪。

音楽のことを中心にいろいろと書いています。

ひっぱりうどん

日記

山形の名物にひっぱりうどんというのがある。茹でたうどんを鯖缶と納豆を和えたつけダレで食べるというナイスな料理だ。けれど、個人的な意見を言わせてもらえば、県民として馴染みがあるのはうどんよりそばだし、別に鯖がよく獲れるわけでもなし、しいて言えば納豆を異様に消費する傾向は実際にあるのでそれをもって山形の味と呼ぶにはやぶさかではないものの、なんでこれが山形名物になるのだ? とちょっと疑問に思わないでもない。いやー、やっぱそば食えよそば。美味いぞ。

なんて具合にひっぱりうどんにちょっと懐疑的なのは、おれはこの本流のひっぱりうどんをごく最近までまったく食べたことがなかったというのが一因にある。納豆でうどんを食べるのは頻繁だったのだけど、鯖缶をそこに加えるという発想がなかった。思い返してみればうどんにあわせていつでも食卓に鯖缶があったような気がするが、家族のうち誰も、それを納豆と一緒に食べるものだとは教えてくれなかった。なんでだよ。どうやら親父が鯖を好かないらしく、「まあ別に鯖いれなくてもいいんじゃない?」みたいな空気になっていたらしい。なんだそれは。おかげでおれはひっぱりうどんを知ることなく山形を離れてしまったのだった。

しかしそんなおれも今ではひっぱりうどんに心奪われている。これは、どうにも致し方ないことなのだ。

おれがはじめてひっぱりうどんを食べたのは去年の春頃。実家から送られてきた食料のなかにひっぱりうどん専用の乾麺が入っていたのだった。専用ってなんだよ。ってそのときは思ったけど、パスタもソースや食べ方によって最適な太さが違うように、うどんだってつけダレの種類にあわせてチューニングしてもいいのかな。ま、そういうわけで、ものは試しだといそいそ鯖缶と納豆を買ってきて、食べてみた。

これがとてもおいしい。讃岐うどんという一大勢力に対して十分にカウンターをかませる一品だ。作り方も見た目もどうもジャンクであり、また手間いらずだからこの上なくファストでもあり、かつどこか土着的。思わず鯖缶を買い込んだのは言うまでもない。この瞬間、おれ認定山形の郷土料理代表選手は、ひっぱりうどんに決定。

山形の郷土料理といってかろうじて知名度があるのは例のクレイジーなフェスティヴァルで知られる芋煮だろう。しかしあれはいらぬ争いのもとでしかない。ひっぱりうどんはその点、県内各地で知名度の差こそあるかもしれないが、派閥を分かって殺し合いがはじまるようなことはないのだ。なんと素晴らしい。

とはいえ、とっつきやすい料理では決してないことは認めざるをえない。鯖缶をぐちゃぐちゃにするのに抵抗がある、というのなら、和えやすいツナ缶を使っても良い。ただ、オイルがめっちゃ邪魔なので、ノンオイルのツナ缶が望ましい。うちの親父はかつぶしを入れるけど、それもまたよし。見た感じもスマートだし。もちろんあらゆる日本の麺類の例に漏れず薬味にねぎを散らすと最高だし、いくらでも夢が広がっていくメニューだ。最初の一歩を踏み出すことに躊躇してはいけない。いますぐにうどんを茹でるんだ。

ちなみに、ひっぱりうどんのオリジンは、鍋物をつつくように各自がうどんをさらう釜揚げスタイルなので、気をつけてほしい。別に味が変わるってもんじゃないけど、冷めないから便利。あったけー。うめー。ってなる。

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