ただの風邪。

音楽のことを中心にいろいろと書いています。

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レビュー(音楽) レビュー(本) エッセイ、考えごと

Genius APIから特定のアーティストの楽曲一覧及び各メタデータを取得する(with Python)

はじめに

 RapGeniusとして開始した歌詞共有サイトGenius.comは、ラップ・ミュージックのリリックのみならずアノテーション(注釈)を共有しようとするヘッズたちの人気を集め、いつしかラップ以外のあらゆる音楽、いやあらゆるコンテンツ――動画、スピーチ、ウェブサイトなど――をカヴァーする一大ナレッジコミュニティとなった。Geniusは自分たちの持つリソースを活用してもらうため、技術者向けにAPIを公開している。ソフトウェアの開発者にはもちろん、楽曲のメタデータやアーティストのバイオグラフィ、そしてユーザーたちによるアノテーションにまで至る大量のデータベースは、歌詞そのものにアクセスすることはできないとはいえ、音楽やそれにまつわる言説について計量的に分析しようという人間にはもってこいの材料となる。

genius.com

 というわけで、ものは試し、Genius APIから特定のアーティストの楽曲一覧を取得し、さらに各々の楽曲のメタデータを含めたちょっとしたデータベースをつくってみることにした。

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ウェブスクレイピングで77年分のビルボード年間トップ100を取得してみた。

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 先日の記事では、The McGill Billboard Projectの提供する楽曲データセットを使ってちょっと遊んでみたわけだが、せっかくならもっと大局的なデータが欲しい。そこで、Pythonでのウェブスクレイピングによって1940年から2016年までのビルボード年間トップ100を取得してみた。

billboardtop100of.com

 ソースは上のウェブサイトになる。APIなどの提供はなく、公式のプロジェクトなんだかなんなんだかよくわからない殺風景なサイトだが、そのぶん構造は単純で、最初に手を出すにはぴったりだった。ソースを見てみるとランキング表示部分はテーブルでレイアウトされており、チャート順位・アーティスト名・曲名の3要素を取り出すのはいかにも容易そうだ。

 使用したライブラリは、requests、BeautifulSoup、sleep、csvの4つ。ウェブとの通信用、HTMLのパーシング用、サーバーを叩きすぎないためのタイマー用、そしてデータ出力用。

 手順としては、

  • 連番を用いてイージーにURLを生成
  • URLが存在するかどうか念のためチェック
  • request.get()でHTMLデータを取得してBeautifulSoupに渡す
  • 必要なデータを含んでいるタグ(<td>)を列挙し、リスト化
  • 長いリストを3つの要素ごとに分割して、2次元化([a,b,c,d,e,f, …]→[[a,b,c],[d,e,f], …])
    • ここでタグや空白、改行などの不要な要素を主にstrip()などできれいにしてあげる。
  • 2次元リストは一発でCSVにぶち込めるので書き込むだけ。
  • あとは最後の年に至るまで延々ループ(タイマーで適度にアクセスの間隔は確保)

 と書くといかにもすんなりいったみたいだけど、一日潰れてしまった。*1さらに今見返したら、もとのコードのスパゲッティ加減にうんざりしてしまった。それでも動いたんだから偉い……

 あえて晒すほどではないが、データはこんな感じ。3つのカラムからなるシンプルなCSVにすぎない。

docs.google.com

 さて、アーティストと曲名がわかったからには正確なリリース年や曲長、楽曲の構造なども収集していきたい。いろいろ探してみたけど、SpotifyのAPIGeniusのAPIが使い良さそうだった。とくにSpotifyが提供するメタデータには曲長やBPM、拍子のほかに、もし活用できれば面白い項目、たとえば「踊れるかどうか(danceability)」とか「明るいか暗いか(valence)」といったものが存在する。恐らくAIがプレイリストを作成するときのためにオーディオを独自にアナライズしたものだろう。一方Geniusは歌詞そのものにはアクセスできないものの、アノテーションメタデータを活用可能。スクレイピングも考慮すると、Geniusの提供するリリックにはほとんど必ず[Verse]とか[Hook]とか[Chorus]といった構成上の役割が併記されていることは特筆に値する。

 以上、報告まで。コードは冗長な部分を整理したものを以下に載せておきます。

gist044b9f2fdda3bdb78ab0c77515698078

*1:加えて、いくらかのページはテーブル化されていないテクスト形式になっていたために、めんどくせーなーと思いつつそれはそれで処理した。こちらは割愛。

「音楽が好き」とはどういうことか。心震わす4つの「音楽文.com」入賞作

 ロッキンオンが主催する「音楽文.com」に掲載されている作品から、とりわけ胸に響いた入賞作4本をピックアップ。ちょっとナメてたけどマジでヤバいサイトだ、これは。

  • 音楽文.comってなんだ
  • 革命への第一歩。UVERworld KING’S PARADE 2017 ――女から見た男祭りの“姿” by エス子 (18歳)
  • 26年目のOnly oneへ。 by 小泉麦 (31歳)
  • おもちゃの車が繋いだもの by 彩葉ろい (17歳)
  • ド田舎に住む27歳独身OL(彼氏ナシ)がMy Hair is Badを聴くということ by 藤原スズキ (27歳)
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ポップ・ミュージックの持続と反復――The McGill Billboard Projectのデータで遊んでみた

caughtacold.hatenablog.com

 先日こんな記事を書いて、データで遊ぶのは楽しいかも、とおもっていたところ、同記事でも取り上げている論文経由で“The McGill Billboard Project”というのを知った。1958年から1991年のビルボードチャートからランダムにサンプルされたデータを、誰でも自由に使うことができる。ちょっとおもしろそうなので、はじめてのPythonと久しぶりのExcelを駆使して遊んでみた。ノーエビデンス、つれづれなるままにデータをいじってみました。

  • The McGill Billboard Projectについて
  • 30年分のチャートから、なにを見てみよう?
  • 伸び続ける曲長とともに増加する要素数――ブリティッシュ・インヴェイジョンの影も?
  • 形式と役割の乖離
  • ポップの本懐は反復感にある、のか
  • おまけ はじめてのPythonの巻
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MachinedrumことTravis Stewartの仕事術がおもしろい、マジ健康そのもの

https://www.xlr8r.com/wp-content/uploads/2017/05/banner.jpg MachinedrumことTravis Stewart近影

 MachinedrumことTravis Stewartと言えば、2000年代初頭にはエレクトロニカにヒップホップ的アプローチを持ち込んだ立役者の一人であり、また2000年代後半に至ってはよりダンサブルな音作りに傾倒し、著しく多様化し続けるベース・ミュージック――ダブステップ、トラップ、ジューク/フットワークetc…――を自在に操るプロデューサー/DJとして活躍する才人だ。

2002年リリースの《Urban Biology》収録、“Cream Soda pt.2”。

2016年リリースの《HUMAN ENERGY》収録、“Do It 4 U (ft. D∆WN)”。

 彼がウェブマガジン・XLR8Rの“Artist Tips”に登場していて、それがめっちゃおもしろかった。

www.xlr8r.com

 だいたいこのコーナーに登場するアーティストは具体的な制作上のTipsを紹介することが多くて、Abletonサンプラーはこう使うんだとか、この曲のこの音はこんなしてつくってるとか、ヴォーカルをプロセスするときはこうしろとか、いわば「サンレコ」的な内容になる。が、しばしばそういう制作からは離れた話題――若いアーティストのためのキャリアパスであったり、長く活動を続ける秘訣だったり――も提供されることがあって、Machinedrumの“Artist Tips”はどちらかというと後者だ。しかもMachinedrumの語るTipsはもうほとんどビジネスパーソン向けライフハックというか、悪口にとられるとちょっと困るのだけど、ある種自己啓発っぽくて、でもなかなか説得力があるからおもしろい。

 そういうわけで、もちろん前掲の記事は「サンレコ」的な観点からも示唆に富んだとてもおもしろいものではあるのだけれど、せっかくだし、それ以外のなんかこうグッとくる部分を主に紹介したい。全体は主に7つの項目に分かれていて、「ルーティーン(Routine)」、「環境(Environment)」、「遊びの時間(Play Time)」、「休憩(Break Time)」、「作り込む(Get Detailed)」、「メモをとる(Take Notes)」、「勉強・練習する(Educate and Practice)」だ。順に見ていこう。

ルーティーン(Routine)

 「自己啓発」感がもっともみなぎっているのは間違いなくここだ。

一日の始めに、自分の人生や周りの人みんなに対する感謝の気持ちとともに目覚めるようにしてみて。馬鹿みたいに聞こえるのはわかるけれど、きちんとベッドから起き上がるのにはこれがほんとに役立つんだ。息ができる、目が見える、耳が聞こえる、匂いを嗅げる、歩ける、そして話すことができる、そんなことに感謝しながら僕は一日を始めるよ。[…]一番ダメなのは起きてすぐスマホをチェックするとか、SNSにログインするとか、ニュースを見るとかすること。そういう『リアル』の世界に飛び込む前に、自分自身をリアルにしてあげるんだよ。

 ほら、なんか「自己啓発」の棚に入ってる本っぽくない? と、半笑いで思うと同時に、スマホとかSNSとかニュースがかたちづくる「リアル」に触れる前に、きちんと自分自身のリアルな感覚を取り戻す時間をとろうって提案には、なるほどと思わされる。感謝の気持ちとともに目覚めたら(この点が僕には到底無理だが)、瞑想したりちょっと本を読んだりしてほんの十数分、いや数分でもゆっくりと過ごして、ご飯食べて、できればメールチェックなんかはせずにスタジオに入る。これ、Machinedrum先生の仕事術。ナンバーワン。

環境(Environment)

 さて、スタジオ入りした読者にMachinedrum先生がまず勧めるのが、掃除整頓。ホコリやゴミクズは払って、ディスプレイもきれいに拭いて、掃除機をかける。それだけじゃなく、もししばらく触ってなくて使う予定もなさそうな機材があったら、どこかにしまってしまおう。いわく、友達がきたときなんかは機材なんかがたくさんあったほうが楽しいけど、作業時は必要最低限の機材に集中できたほうがいいという。なんだかこの人、こんまりの『人生がときめく片づけの魔法』の英訳本を片手に「ときめき(Spark Joy)を感じない機材は片付けてしまうべきだよ!」とか言い出しそうな気がしてならない。*1さて、「必要なツールが君の目の前に揃ったら」と先生。「今度はヴァイブスをつくりだす時間だ」。

 お、いよいよ音出しですか? と思ったらどっこい、ここで重要なのは空間の演出だ。先生は、クールな照明、ワイフと飼い猫の写真、パワーストーン、砂時計、お香などなどをスタジオの空いてる壁や空間に配置してヴァイブスを高めているらしい。特に照明はスマホから調光・調色ができるクールなやつ(PhilipsのHUE)なんだって。

個人的には、スマホでコントロールできる照明とかいらんやろ、誰が買うねん、なんて思ってたけれど、まさかMachinedrum先生が愛用しているとは……。インスタントにナイスなヴァイブスがつくれていいそうだ。

 ヴァイブスが高まったところで機材やDAWの具体的なセットアップの話になるのだが、このあたりはこの記事ではあえて取り上げない。各自ご確認ください。

遊びの時間(Play Time)

 ここからは、より具体的な作曲のプロセスに関わってくる。それゆえ趣味にでも音楽制作を嗜んでいる人ならくまなく読んでみて欲しい。膝を打つ瞬間がいくらでも訪れる。要点だけ抜き出せば、「ディテイルに拘泥せず、遊びの時間を通して生まれるモーメントを上手く取り出して、8~16小節程度のスケッチとしてとにかくかたちにすること」。これが大事だ、ということになる。

 しかし笑ってしまうのは出だしだ。

たとえば君があと二日間で一曲ゼロからつくらないといけないとしよう。君はこう思うかもしれない。『感謝しながら目を覚まして、瞑想して、飯食って、スタジオの掃除と機材の準備を終えたらもう3時間もたってるぞ、この時間が一体なんの役に立つっていうんだ…』。確かに時間の無駄に思えるかもしれないけど、僕を信じて!

 たしかに締め切り二日前に至って「瞑想して掃除することから始めろ」なんて言われたら「正気か?」と思う気がするけれど、Machinedrum先生曰く、こうしたルーティーンを通じて自分のコンディションを整えてこそ、クリエイティヴィティののびしろが生まれるんだから、損はしないって。

休憩(Break Time)

 Machinedrum先生は休憩の重要さも説く。あんまり作業にかかりっきりになるとトラックに自分が飽きてしまうし、結果としてあれこれこねくりまわして「なんだかやりすぎ」なトラックになってしまうことが多い。だから、ちょっとした休憩――数分外に出てみるとか――をまずとる。その目安に先生が使っているのが、さっきさりげなく言及した砂時計だ。原文ではこの砂時計、“Hourglass”、つまり一時間単位で時間を測る砂時計だ。別にコンピューターやスマホでタイマーを使えばいい話なのだけど、「時間を示す砂が落ちていくのを眺める感覚は、僕の制作プロセスに勢いを与えてくれる」のだという。あなたのスタジオにもどうですか、でっかい砂時計。

 なんか…… 案外悪くない気がする。でっかい砂時計欲しくなってきた。

作り込む(Get Detailed)

 この項はふつうにためになるので時間があれば熟読することをお勧めする。要点だけ書くと、まず全体の構成(たとえば「このフレーズは一番盛り上がるところで出そう」とか、「この展開は後半に使える」とか)を心に描きながら、おおまかなアレンジを決めていくこと。アレンジが十分煮詰まってこそ初めて音作りが始まるといって過言ではない、とMachinedrum先生は力説する(超訳)。

メモをとる。(Take Notes)

 突然だが、デキるクリエイティヴ・パーソンはEvernoteを颯爽と使いこなしている、という偏見が僕にはある。ひとつ実例を見てみよう。

blog.evernote.com

 どうだろう。いかにも説得力があるではないか。さあ、みなさんの心のなかにもEvernoteを颯爽と使いこなすクリエイティヴ・パーソンがひとりやふたり浮かぶのではないか。そしてここにまたひとり、Evernoteを制作に活用する、デキるクリエイティヴ・パーソンの存在が明らかになった。Machinedrum先生その人である。

とりかかっていたトラックから数分とか一時間くらい休憩をとることにしたら、メモをとる時間だ。僕はEvernoteを使うのが好きで、というのも僕の持ってるデバイス全部にメモを同期してくれるからだ。この機能が後で車の中とか散歩中に曲を聴いてるときに役に立つんだよ、どこにいてもメモに追記することができる。

 具体的にどんなメモをとるのかについては、多様な例が上がっている。具体的に「何小節目のハットを足す」とか、「ボーカルでかすぎ」とか、あるいは「ラップトップで聴いたときだけスネアがでかい」など。できるだけ簡潔に、わかりやすく、とのこと。

勉強・練習する(Educate and Practice)

 ここもふつうにいい話なので記事の趣旨としては割愛しても良いのだが、一点、「僕はミックス技術やプラグイン、ソングライティングとかいった、いろいろな主題を扱ったチュートリアル動画を見るのが好きなんだ」という一言に、なんとなく安心した。やっぱちゃんと勉強してんねんなー、と。

 ああいうチュートリアル動画の評価は結構分かれるところがあって、批判的な見方をする人もいる。*2それでもやっぱり、プロであれアマであれ音楽をつくる以上はアウトプットの欲望と同時に「この音、どーやって出してんだ?!」というインプットの驚きとそれに伴う貪欲な知識欲もあってなんぼだよな、とも思う。そこでMachinedrumに「いやおれチュートリアル動画めっちゃ見てるし、楽器の練習もめっちゃ好きだし」と言われると、やっぱ20年選手のプロでもそうなんや、とほっとするのだ。

なんかめっちゃ健康そう

 以上Machinedrum先生の仕事術を裏側から斜め読みしてきたわけだけれど、読み終わった率直な感想は「健全! 健康!」というこのふたつの言葉に尽きる。僕には眩しすぎてしょうがない。特にいつまでも治らない不眠症が邪魔を…… とか言うのはやめておこう。先生の仕事術から湧き出ているポジティヴなヴァイブスをかきけしてはいけない。

 個人的な話をすれば、Machinedrumの音楽は僕にとってどちらかというと《Urban Biology》的な、エレクトロニカシーンの人であり、有名どころではPrefuse 73の《Vocal Studies + Uprock Narratives (WARPCD83)》(2001)なんかと並べて聴かれてるイメージがしばらく強かったので、いつのまにかベース・ミュージックでぶんぶん言わせるようになっていたのにはびっくりした。いまも彼のBoiler RoomでのプレイをBGMに記事を書いているが、縦横無尽にベース・ミュージックをプレイするそのスタイルはアップリフティングでとても楽しい。この変化も、おそらくは持ち前の好奇心と学習意欲のたまものなんだろうな、と彼の“Artist Tips”を読んで思った。それでは最後に、彼のDJプレイをどうぞ。

VAPOR CITY [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC392)

VAPOR CITY [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC392)

*1:ご存じの方は多いと思うが、片づけコンサルタントとして知られる「こんまり」こと近藤麻理恵の著作は英訳されて凄まじく高い評価を得ている。要するに彼女のメッセージは「ときめく」「ときめかない」を基準に身の回りのものを整理していこう、というものなのだけれど、この「ときめき」概念も“Spark Joy”として翻訳されて、結構広まっているらしい。別にわざわざ英語版を買おうという人はいないと思うけれど、参考までに。

The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing

The Life-Changing Magic of Tidying Up: The Japanese Art of Decluttering and Organizing

*2:たとえば、いったんあるサウンドが流行るととたんにチュートリアル動画が溢れかえって、それを見たトラックメーカーが似たようなサウンドばっかりつくるようになってしまう、とか。実際、「〈任意のアーティスト〉 type beat tutorial」なんてYouTubeで検索をかけてみると、うんざりするほど「誰それっぽいビートメイクのチュートリアル」が出て来る。こうしたイノベーションとイミテーションのダイナミズムの良し悪しについては、以下の記事でFlumeのトレードマークとなったドロップを例に論じられている。興味があれば参照して欲しい。ただなぜか僕の環境だと表示がおかしい。FirefoxChromeなら、画像や動画といったテクスト以外の要素を非表示にする拡張があると思うので、それをかけてみると読めるようになるかもしれない。 thump.vice.com

「知性」と「道具」のあわいに――2つの「クリエイティヴなAI」プロジェクトについて

pitchfork.com

 Pitchforkが先日こんな記事を載せていた。曰く、「アンドロイドはエレキギターの夢を見るか? 音楽AIの未来を探る」。このタイトルを見て、ひとは似たような洒落を思いついてしまうものだな、と驚きつつ苦笑してしまった。昨年に僕が書いた音楽AIに関するブログ記事もまた、フィリップ・K・ディックをもじったタイトル*1だったからだ。

caughtacold.hatenablog.com

 ちょうど取り上げているプロジェクトも被っていて、GoogleによるクリエイティヴAIプロジェクトのMagentaと、Sonyによる作曲AIプロジェクトのFlow Machinesだ。僕が書いた記事では、作曲を機械に学習させるにあたって(菊地-大谷的な)「音楽の記号化」の問題があらためて問われることになるのではないか、ということを主に考察した。*2対してPitchforkの記事はよりジャーナリスティックで、現場で実際にプロジェクトに携わる人々の本音が垣間見えて非常に興味深いものになっている。

Magenta上に実装されたRNN(再帰ニューラルネットワーク)によって生成されたメロディ

Flow Machinesが作曲した「ビートルズ風」の楽曲、“Daddy’s Car”

 たとえば、Magentaのプロジェクト・リーダーであるDouglas EckはMagentaの現状を 「白熊が三輪車に乗る曲芸」 みたいなものとして、謙虚というか、シニカルかつプラクティカルに捉えている。つまり、出来上がったもののクオリティは決してそれ自体びっくりするようなものではない(どころかしょっぱい)けれど、なにしろやっているのは人間じゃなくてAIなんだよ。すごいすごーい! というわけだ。そしてこうも言う。「もしフランク・オーシャンがやってきて『Magentaとコラボしよう』と言ったとしても、僕は『まだ早いよ』と言うだろうね」。

 深層学習によって様々な楽器の音色を合成可能な“NSynth”にせよ、同記事の著者は「ダイアルやフェーダーをいじっているのは楽しいけれど、それは未来というよりも過去の経験に似ているように思えた」と語り、シンセやサンプラーをいじる喜びとどこが違うんだろうと率直な感想を残している。しかしMagentaの強みは、オープンソースのプロジェクトとして世界中のコーダーが自分なりの実験を繰り広げられる場を提供していることにほかならない。彼らはイノベーションの種を根気強く撒いて世話をしている段階と言えるかもしれない。

Magentaのプロジェクトに携わっているYotam Mannによる応用の例

 一方で、Flow Machinesは、著者が的確に例える通り、 「ある種のヴァーチャルなミュージシャン」 だ。Magentaと違って、Flow Machinesはあらかじめ大量のミュージカル・ナンバーやポップ・ソングのライブラリーを学習することで、「ビートルズ風」だの「ビッグバンドな感じ」だのといったいろいろな作風をたやすく作曲し、演奏して見せる。また、ミュージシャンが使いやすい対話的なインターフェイスを実装していることによって、AIをいちから実装しないといけないMagentaよりもずっと「実用的」になっている。かといって、Flow Machineのプロジェクト・リーダーであるFrançois Pachetもまた、思ったほどAIの力に楽観的ではない。

彼[Pachet]は、Flow Machineには「完璧に良い」曲を自力で生成するだけの能力があるけれども、ほんとうにユニークな曲はアーティストがそこにいてこそ生まれるものだと考えている。「音楽作品をつくるときには判断しないといけないことがとてもたくさんある」と彼は語る。「ただアーティストだけが、偉大な作品を生み出す判断をこなせるんだ」

 記事を通して伝わってくるのは、Magentaにせよ、それよりいくらか洗練されたFlow Machinesにせよ、求めているのは 「ミュージシャンがどんな創造的な使い方をしてくれるか」 というその可能性に尽きる。Eckがドラムマシーンをひきあいに出して語るように、テクノロジーから本物の魔法が飛び出してくるのは、それが予想だにしない使われ方をしたときなのだ。その意味で、「現状のAIはまだ(そしてAIの未来もまた)道具にすぎない」といったEckやPachetの控えめな態度は、クリエイティヴとテクノロジーとのあいだの適切な距離感を保っている。

 しかし興味深いのは、Flow Machinesのプロジェクトに參加し、実際にFlow Machinesと一緒に作曲や演奏を行っているBenoît Carrésの言葉だ。Carrésが語る“Mr.Shadow”の作曲プロセスは不思議に満ちている。もとになったメロディは、Flow Machinesがはじき出した数多のメロディのうちのひとつでしかないが、それがCarrésの心を不思議に捉えた。しかも、単にメロディの美しさに惹かれただけではないという。

「まるでシンガーの魂のとりこになったようでした。」と彼[Carrés]は語る。「 私が受け取ったのは、歌詞を通して物語を伝えるような声ではなかった。私は感情を、スタイルを、歌い方を――つまりこのシンガーの持つエッセンスを受け取ったのです。 私にとってはそこがこの道具の一番興味深いところです。音楽を聴くという行為の意味をつくりかえてしまうんです。言葉はぜんぶ理解できなくても、フィーリングは捉えられる、そんな子どもに戻ったかのように。新しい種類の歌ですよ。」*3

Flow Machinesが作曲、Carrésが編曲を行った作品、“Mr.Shadow”

 Flow Machinesによる製作工程については以前の記事の冒頭で詳しく見たのでそちらを参照してほしいが、そのプロセス自体は対話的で洗練されたソフトウェアという印象以上のものではない。しかし、Carrésの言葉を読むと、それは単なる有能なアシスタントにとどまらず、むしろ ミュージシャンの無意識に眠るインスピレーションを具現化させてくれるメンター にさえ思えてくる。

Flow Machinesと一緒に演奏しているとき、私は自分の無意識やフィーリングとより強く繋がっていて、逆に心との繋がりは弱まります。[…]こうした道具を使ってつくる音楽は、自分のもっと深い部分へと私を導いてくれるし、あなたの持つ創造性の影の部分を探求する手助けをしてくれます。

 機械を通じて触発され、顕れる無意識――そう表現してみると、まるでそれはアンドレ・ブルトンのようなシュルレアリストの言葉のようでもあり、いっときはシュルレアリストたちの擁護者であったヴァルター・ベンヤミンの言葉のようでもある。*4しかしそれはたとえば、数多の革新的ポップ・ミュージックを生み出してきた「技術の進歩」や「機材の誤用」のマジックとも違うし、ラディカルな実験音楽にしばしばついてまわる「偶然性」や「不確定性」といった概念とも違うように思える。

 あくまでクールな態度を崩さないエンジニアたちとは対照的に、ミュージシャンはAIのなかに神秘的な力――人間の持つ創造力にとてもよく似たそれ――を見いだし、そのとりこにさえなっている。 僕たちはいつやってくるかもしれないシンギュラリティに思いを巡らすよりもむしろ、ミュージシャンがAIと育んでいるこの奇妙で親密な関係にこそ関心を向けるべきかもしれない。 なぜなら、おそらく今後十年ほどで僕たちの身の回りにはFlow Machinesのような仲間があふれかえるだろうからだ(もはや溢れかえっている、という言い方もできる)。

 専門家からすれば「知性未満」、しかし利用者からすれば「道具以上」……。そんな存在に囲まれた暮らしは、クリエイションは、どんな世界をつくる/つくっているのだろう?

*1:あえて言うまでもないが、アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))をもじった。そういえばブレードランナー2がもうじき公開ですね…

*2:菊地-大谷的、というのも、それがもっぱら両者の共著『憂鬱と官能を教えた学校――【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 調律、調性および旋律・和声』(2004年)で提示されたテーゼに基いているからだ。すなわち、17-8世紀の平均律の誕生からはじまる音楽の記号化(というか記号の標準化といったほうがいいと思うが)が、20世紀にいわゆる「バークリーメソッド」というポップ・ミュージックとジャズに特化したより高度な記号化の爆発的な普及を経由して、最終的には1980年代のMIDIの誕生によって記号化が極北に達し、無効化した、という見立てだ。そういう事情もあって、どちらかといえば抽象的な話になってしまったきらいがあるが、2つのAIの根本的な発想の違いについてはPitchforkの記事と較べても遜色なく解説できていると思う。

*3:強調筆者

*4:ベンヤミンの名高い「視覚的無意識」を想起しよう。あるいはそれを、フリードリヒ・キットラーの大著『グラモフォン・フィルム・タイプライター』において繰り返されるフロイト-ラカン批判に重ね合わせてもよいだろう。厳格な技術決定論にのっとるキットラーは、精神分析という学の誕生はグラモフォン(ノイズをありのままに記録する録音技術)、フィルム(運動を記録する映画)、タイプライター(脱属人化されたテクスト)によって用意されたと主張し、フロイト-ラカンは本来技術があきらかにした無意識の領域を、理論と臨床の両面における技術の徹底的な排除によって精神分析家たちが(不当にも)独占したのだという。キットラーの技術決定論の正当性についてはさておくとしても、シュルレアリストのアーティストたちにしばしば見られる機械や技術への偏愛はその論にある程度の説得力を与えていると思う。

図説 写真小史 (ちくま学芸文庫)

図説 写真小史 (ちくま学芸文庫)

グラモフォン・フィルム・タイプライター〈上〉 (ちくま学芸文庫)

グラモフォン・フィルム・タイプライター〈上〉 (ちくま学芸文庫)

グラモフォン・フィルム・タイプライター〈下〉 (ちくま学芸文庫)

グラモフォン・フィルム・タイプライター〈下〉 (ちくま学芸文庫)

デジタル配信はポップ・ミュージックの構造を変えたかって? …まあ、ある程度はそうだろうね。

(6月16日若干改稿)

wired.jp

 ひとは自分がいままさに経験している変化というものを過大に評価する傾向があるように思う。この記事を書いた人もそうしたバイアスにかかっているのではないかと思う。いわく、

インターネットとデジタルテクノロジーは、音楽・レコード産業のビジネスモデルを完全に変えた。MP3やNapstar、iTunesによって、「購入」は「アクセス」へ、「ディスク」は「プレイリスト」へと変わった。ストリーミングが大成功を収めた。そしてフォーマットや聴き方の変化は、ポップ・ミュージックの作曲法をも変化させたのだ。

 たしかに音楽の流通のデジタル化はポップ・ミュージックの構造を変化させたに違いない。しかしそれはポップ・ミュージックがその短い歴史のなかで被った唯一で無二の大きな変革では決してない。この記事の元になった論文は残念ながらオープンアクセスではなく直接原文にあたることはできないが、いわゆる「アテンション・エコノミー」の理論から導き出した5つの評価基準に基いて楽曲構造の変化を辿る試みであるらしい。WIREDの記事から要点をまとめてみよう。

  1. 80年代に比較して現在のヒットソングのイントロは非常に短い。
  2. 曲名が短くなっている。
  3. 曲の核となるリフレインが曲頭から30秒以内に現れる。
  4. ギターソロやキーボードソロといったパートが削られている。
  5. 曲が短くなり、3分30秒をめったに超えない。
  6. ミックスが音圧重視のプアなものになっている。
  7. メロディが単純で覚えやすく、既存の曲に似ていることさえある。

 そして同記事では、次の二曲を例に挙げていかにもこの議論が正当であるかのように締めくくっている。

 なるほど、たしかに80年代と比べるといまの音楽っていうのはなかなか変わっているし、たしかにこの変化には音楽の流通のデジタル化が一枚かんでいるかもしれない。しかし、こう疑問に思わないだろうか。「もしかしてこの執筆者、ビートルズすらロクに聴いたことがないんじゃないか? あるいはオールディーズの名曲を一曲も知らないのでは?」。だって、考えてもみてほしい。ロックンロールやオールディーズの名曲に 30秒以上のイントロ があって、 リフレインがなかなか現れなくて4分以上も長さがあるものがどれだけあるだろうか? 80年代中盤を基点に考えればいかにもいまのポップ・ソングは技術の進展によって大きな変化を被ったかのように見えるかもしれないが、そもそも80年代の楽曲に見られる特徴――イントロの長さ、演奏者のソロ、(比較的)長尺であること――がそもそも技術の進展によって可能になった当時の革新の成果であって、決して中立な「出発点」などではないのだ。いや、もちろんそんなことは記事執筆者も論文の著者も百も承知だろうが、あえてほんのちょっとだけでも検証してみる価値はあるのではなかろうか。

 そういうわけで、ちょっとイージーで卑怯な手かもしれないが*1、思い切って時代を絞って1950年代後半~60年代前半の楽曲を対象とすることにして、映画《アメリカン・グラフィティ》(1973年)のサウンドトラック、《41 Original Hits from the Soundtrack of American Graffiti》(1973年)を参照してみよう。収録されている楽曲はおおよそ1960年前後のいわゆるオールディーズであるとかロックンロールであって、おおよそブリティッシュ・インヴェイジョン以前の「古き良きアメリカ」のヒットチャートのあるアイコンであると言っていいだろう。

アメリカン・グラフィティ オリジナル・サウンドトラック

アメリカン・グラフィティ オリジナル・サウンドトラック

 サウンドトラックという事情もあってこの収録時間が原曲と厳密に一致するかは微妙、なかにはウルフマン・ジャックトークがかぶさっているものもあるからちょっとしたお遊び程度のデータと思って貰って構わないが、論文で収集されたものとだいたい同じデータをこのサントラから抽出してみた。また、Apple MusicなりSpotifyなり奥の手にYouTubeなりで実際に聴いて計測したデータもある。

docs.google.com

 さて、順繰りに前掲の7項目についてこのデータをみていってみよう。まず、1960年前後のポップ・ソングのイントロは平均で6.9秒、楽曲の4.8%を占める程度 だと言える。また、イントロがなく いきなりヴォーカルから始まる曲は41曲中9曲 あって、少し範囲を広げて 5秒以下のものは24曲と半数を超える。逆に10秒を超えるものは少なく、半数以下の10曲を数えるばかり。突出したものでは27秒のイントロを持つものが2曲、30秒のイントロを持つものが1曲みられる。少なくとも、いまだけが極端ってわけでもなさそうだな。

 次、曲タイトルのワード数。平均値を出してみると3.37。1語だけの曲もある(Del Shannon“Runaway”)。うーん、さすがにこれだけのサンプル数だとなんにも言えない。けど、グラフにしてみると2~4語のタイトルが大半といってよいような…。これもいまが極端に短い曲名ばかりとは言えなさそう。(以下、グラフの横軸は曲名のワード数、縦軸は楽曲数)

 訂正(6月16日) 元論文の参考文献をざっと見てみたところ、以下の記事によると、1960年代から2010年代にかけての「いち単語のみからなる楽曲タイトル」の割合は8.8%から23.2%まで大きく上昇しているそうだ。平均値も、1960年代には3.76だったものが2010年代には2.72まで減じている。

priceonomics.com

 したがって同記事・論文の分析はきわめて正当なものだ。訂正終わり。

 さて、3つ目なのだが、 曲の核となるリフレインを指す意味が時代やジャンルに従って変化するために、この項目については元論文がどのような意味でこの言葉を用いているのかを確かめないとなんとも言うことができない。たとえばロックンロール以前に席巻していたティン・パン・アレイ形式と呼ばれるAABA形式においては、核となるキャッチーなメロディラインはA部におかれて反復され、B部はそれらを引き立てる役割になる。

一方、ロックンロール以降によくみられるヴァース・コーラス形式と呼ばれるABAB形式においてはヴァースと呼ばれるA部と、キャッチーなリフレインを含むコーラスと呼ばれるB部を交代するかたちで楽曲が進行する。

このときAABA形式とABAB形式では中心となるメロディがおかれる場所が違っていて、強いて言えばAABAではAがいわゆる「サビ」のように聞こえるし、ABAB形式ではいわずもがなBが「サビ」に聞こえる。元論文を詳しく読んでみたいところだ。*2

 4つ目。ギターやキーボードのソロがないという話。どっこいオールディーズでは半数以上、サンプル41曲中23曲、56.1%にソロに相当する部分が入っている。そう考えると曲は短いのにソロが入ってお得な感じがしないでもない。ただこのへんの話はポップチャートを90年代にヒップホップ・R&Bが侵食し、近年ではEDMが侵食しもしたことが明らかに影響しているのではないかという気がする(参考過去記事:『最近のポップスはサビでいかに何もしないかですよね』(©狭間美帆)、あるいはEDMに侵食されるポップスについて - ただの風邪。)。要するに、ギターなりキーボードなりのプレイヤーのプレゼンスが低下して、非ミュージシャンによるポップ・ミュージックが大手を振ってヒットチャートを歩き回るようになっている、ということ。元の論文でこのあたりの事情がどのように論じられているかはわからないが、むしろここはそうしたジャンル的制約・技術的制約が大きいのではないか?

 5つ目。すくなくともこのコンピレーションの収録曲を見渡す限り、オールディーズとかロックンロールの 曲長は平均して2分22秒。最も短いのはThe Fleetwoodsの“He’s The Great Imposter”の1分33秒になっているが、Wikipediaによるとオリジナル盤では2分11秒だとあるため、単に編集されているだけだろう。それを除けば、最も短いのはThe Cleftonesで“Heart And Soul”で、1分49秒。同じくらいの長さ、つまりぎりぎり2分に満たないくらいの曲は他にも4曲ある。最も長い曲でもThe Flamingos“I Only Have Eyes For You”で3分9秒しかない。この長さの根拠はあんまりわからなくて(別に調べてないからだが)、45回転の7インチ盤は技術的には5分~8分程度は収録できるようだが、*3まあだいたい自分が知っているオールディーズの名曲というとだいたい2分半から3分くらい、なのは体感的にもたしかだ。というわけで、 「デジタル配信のせいでポップ・ソングが短く!」というのはあまり真に受けないほうがよい。 間違ってはいないかもしれないが、話が雑すぎるからだ。僕はむしろ、シングル主体の消費からアルバム単位の消費を経、そしてMTV的消費に至ってリスナーが許容できる「ポップ」の長さがどんどん拡張されたものの、デジタル配信の普及で再びシングル主体の消費に回帰した結果、曲の長さが元に戻ったのだといまのところ考えている。(ここから「ストリーミング配信の普及に伴う「アルバム」の復権」という話題にもジャンプできる気がするが、やめておく。)

 6つ目と7つ目についてはどういった分析を行ったのか元論文にあたらないとなんともいえないのだが、「音圧戦争」はCD時代からすでに始まっている話であってデジタル配信が特にそこに関係するとは思わない。また、メロディの単純化についても既存の研究でおおよそ50年スパンの分析をもとに和声や旋律のヴァリエーションが減じてきていることが示されている(以上2点についてよくまとまった記事があったので以下にはっておく(英文))。この点は正しいかと思われるけれど、それをストリーミングの普及と結びつけるWIREDの記事の書き方は拙速だと言わざるを得ない。

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 というわけで、ささやかながら反証を試みてみたが、どうだったろうか。お前の議論のほうが荒くて使い物になんないよ、というツッコミは甘んじてお受けいたします。

うたのしくみ

うたのしくみ

 「うた」の形式にまつわるあれこれについてはこれがとても易しく、実例も豊富なのでとてもおすすめです。以前の書評はこちら

*1:なにしろ論文の原著者は30年スパンでデータとってるのにこっちはたかだか5年程度のスパンで済まそうというのだからなかなかいい根性である。

*2:以上この3つめの項目は全体的に6月16日に大幅に整理・訂正した。具体的にどこをどういじったというのが難しいので、ここで説明するにとどめる。

*3:参考:レコードのサイズによって収録できる尺(長さ)は違いますか? – QRATES
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